【PR】



ベッドからベッドまで

 2020年、多くの人が「外出の自粛」や「移動を制限される」という経験をした。これまでに直面したことのない事態に、窮屈な思いを抱くこともしばしば。そんな中でも、通院や食品・日用品の買い物など必要な移動がある。特に通院は、誰かに代わりに行ってもうわけにもいかず「安心して移動する」ための環境を整えなくてはならない。自由に移動できることの有難みを知ったことで、歳を重ねると移動が制限されていくのかもしれないと改めて気付く。ということで、高齢者の移動と関わりが深い、介護タクシー事業者ネットワーク「アクト♡すまいる」の代表理事・鎌倉さんと総務・串原さんにお話を伺いました。

 自家用車でも公共交通機関でもなく移動しようとすると、頼りになるのがタクシーではないだろうか。依頼すれば数分で家の前まで迎えに来てくれて、安全に行き先まで送り届けてくれる。では、タクシーの待つ場所まで、自力での移動が困難な時はどうすれば良いのだろうか。

そんな時に頼れるサービスが「介護タクシー」だ。お客様を乗せて走ることのできる第二種運転免許を持ち、介護や看護の技術も持った運転のプロが、車イスやストレッチャーのまま乗り込めるような専用車両で移動を支えてくれる。介護という名前がついてはいるが、要介護・要支援認定の高齢者だけでなく障がい者、妊婦、ケガや病気で歩けない人などに幅広く対応している。

 介護現場で必要とされる基本的な介護技術に「移乗(いじょう)介助」がある。ベッドから車イス、車イスから食事用の椅子、便座や浴槽などへ乗り移る動作を移乗、その動作を助けることを移乗介助と言う。日常生活を送るうえで移乗の機会は多い。特にベットから車イスへの移乗は転倒などによるケガのリスクも高く気が抜けない介助の一つ。「私たちの仕事はベットからベットまでの移送です」の言葉通り、アクトすまいるでは自宅の布団から病院の中でのケアまで、移動に一連で寄り添ってくれるので心強い。


介護タクシーは高いの?

同じ介護タクシーを名乗っていてもサービス内容や技術力には差があり、正規の価格よりも安いと思ったら運転が荒かったり粗悪なサービスだったりすることもあるという。ガッカリに遭遇しないためにも利用する側の私たちが介護タクシーのことを正しく知り、しっかりとサービス内容を見極めることが重要になってくる。費用を抑えたい気持ちは分かるが、「より安く」を求めすぎるとそれが一部の事業者による不当な安売りを生んで、サービス品質の低下を招き、業界全体が疲弊してしまう原因となってしまう。

また、私も話を伺うまで知らなかったが、介護タクシーの置かれている状況が複雑で分かりにくい。介護タクシーは、国土交通省の地方運輸局に認可を受けて運行している。ただ一般のタクシーとは異なるルールも多く、予約がないと乗車できない等の制約もある。利用用途の制約がない分、ほぼ全額が利用者の自己負担となることも多い。利用者のケアプランに含まれる範囲での介護保険適用も可能だが簡単ではない。タクシー運賃とサービス料の負担が利用者に「高い」という印象を与えてしまうのだろう。もともと名古屋市議会議員を務めていた鎌倉さんの人脈や行動力も手伝い、アクトすまいるでは介護タクシーの認知度を上げるための取組みや、事業者同士の情報共有などにも力を入れている。国土交通省・厚生労働省と総務省(消防庁)の管理の間で介護タクシー業界が置かれている状況を打破し、業界全体のレベルアップも目指す。個々の事業者だけではなかなか解決できないような課題にも、事業者同士が団結したネットワークで挑んでいる。

 


健康と移動する楽しさ

 アクトすまいるの登録事業者は、患者等搬送事業者に認定される講習を受けることが推奨されている。民間救急搬送車として救急車の適正利用という観点でもニーズがあり、実際に病院間の移送(転院など)の依頼も多いそう。12月の定例会でも、コロナ陽性者の移送を請け負う場合に想定されるリスク・課題や心構えといった話の共有がなされ、各事業者が真剣に耳を傾け意見を交わす様子が見られた。リピーターに支持されて仕事を請け負うことも多いという介護タクシーだからこそ、実際に陽性患者の移送をするにはリピーターや家族の理解、専用車両の確保、媒介しないための単身アパートなど、とにかく慎重な対応が必要となる。

「高齢者が出掛けなくなる理由、分かる?」と鎌倉さん。「転んだらどうしよう、途中でトイレに行きたくなるかもしれない」と心配が増えることで家族にも遠慮し、本人が心理的なハードルを作ってしまうのだという。「遠慮せずに旅行にも行けるようにしたい。出歩かないと益々病気になるからね。移動することを止めないことが、結局健康に1番でしょ。」と最近では介護旅行の提案もしている。

 アクトすまいるのコールセンターで、利用者が必要とする設備の整ったクルマを探して配車をしてくれる。初めての利用でももちろん相談にのってくれるとのことなので、是非覚えておきたい。

(インタビューは12月5日に実施しました)

取材協力:アクト♡すまいる

【PR】